
スイスとオーストリアに挟まれた小国が「リヒテンシュタイン侯国」です。面積は約160平方キロと世界で6番目に小さな国で、人口は約3万8千人、公用語はドイツ語です。近年では金融立国として地位を固め、国民一人当たりの実質所得は日本円にして年間一千万円を超える世界でも有数の豊かな国です。このヨーロッパの小国をもっと知ってみませんか?
リヒテンシュタイン侯国はハンス・アーダムⅡ世侯爵を元首とする立憲君主国です。ハンス・アーダムⅡ世をはじめ、歴代の国家元首は代々リヒテンシュタイン侯爵家が務めてきました。同家の歴史は、1142年にオーストリアの首都ウィーンの南、約16キロのメートリングにあるリヒテンシュタイン城を居城とし、城の名前を家名としたことに始まります。
13世紀になりハプスブルク家が権力を握ると、リヒテンシュタイン家もその家臣として地位を高めていきました。そして17~18世紀にかけて「シェレンベルク男爵領」と「ファドゥーツ伯領」を買収し、この土地が1719年に「リヒテンシュタイン侯国」として承認され今日に至っています。戦乱の多いヨーロッパにあって第一次・第二次世界大戦を大きな戦災を受けることなく切り抜け、かつての貧しい農業国から豊かな経済立国となり、2019年には建国300年を迎えました。